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企画課 白壁課長
やらなければならない仕事があるのに、急に机を片づけたくなる。
返信しなければならないメールがあるのに、別のことを始めてしまう。
このような先延ばしは、単に時間の使い方が苦手だから起こるとは限りません。
心理学では、感情や自己調整の問題が関係していると考えられています。
心理学では先延ばしを、悪い結果になると分かっていながら、必要な行動を自分の意思で遅らせることと捉えます。
これは「自己調整の失敗」の一つです。
自己調整とは、将来の目標に向けて自分の感情や行動をコントロールすることです。
例えば、今は面倒でも仕事に取りかかる。目の前に楽しそうなことがあっても、先に必要な作業を終わらせる。このような行動にも自己調整が必要です。
先延ばしでは、将来の目標よりも今の気分が優先されてしまいます。
先延ばししやすいのは、難しい仕事や退屈な作業、失敗が気になる課題などです。
その仕事について考えると、不安や面倒さ、退屈、苦手意識などが生まれます。
そこで別の行動をすると、嫌な気分から一時的に離れられます。
この考え方は「短期的な気分調整」と呼ばれています。
つまり先延ばしは、仕事そのものを避けているというより、仕事によって生まれる不快な感情を避ける行動ともいえます。
心理学の研究でも、先延ばしは時間管理の問題だけでなく、感情を調整する方法と深く関係すると指摘されています。
先延ばしには「課題嫌悪」という考え方もあります。
これは、その課題をどのくらい不快で面倒なものと感じているかということです。
難しすぎる仕事、単調で退屈な作業、何をすればよいのか分からない課題などは、課題嫌悪が強くなります。
また、自分で選んだ感じがしない仕事や、意味を感じにくい作業も避けたくなりやすいとされています。
先延ばし研究では、この課題嫌悪が先延ばしを予測する重要な要素の一つと考えられています。
先延ばししていたのに、締め切りが近づくと急に集中できることがあります。
これには「時間的動機づけ理論」という考え方が関係しています。
遠い将来に得られる成果は、今すぐ得られる楽しさに比べて魅力が弱く感じられます。
例えば、数週間後に完成させればよい資料よりも、今すぐ見られる動画やSNSの方が魅力的に感じられます。
しかし締め切りが近づくと、仕事を終わらせる必要性が急に高まります。失敗や遅延という結果も現実的になるため、ようやく行動を始めやすくなります。
先延ばししていた人が期限直前に動けるのは、突然やる気が生まれたというより、行動する価値が急に高く感じられるためなのです。
失敗したくない気持ちや、きちんと仕上げたい気持ちも先延ばしにつながることがあります。
最初から完成度の高いものを作ろうとすると、取りかかる前の心理的な負担が大きくなります。
「うまくできなかったらどうしよう」と考え、始めないことで失敗を避けようとする場合もあります。
完璧主義そのものが必ず先延ばしにつながるわけではありませんが、失敗への不安と結びつくと行動を妨げることがあります。
先延ばしには、衝動性や恐れ、課題の難しさなど複数の要素が関係しています。
先延ばしを減らすには、自分を責めるよりも「何を不快に感じているのか」を考える方が役立ちます。
難しそうなら作業を小さく分ける。失敗が不安なら下書きだけ作る。退屈なら時間を決めて短く取り組む。
「資料を完成させる」ではなく「ファイルを開く」「見出しを一つ作る」と考えると、最初の負担を減らせます。
また「午後3時になったら資料を10分進める」のように、いつ何をするかを具体的に決める方法もあります。心理学では、このような方法を「実行意図」と呼びます。
実行する状況と行動をあらかじめ結びつけることで、毎回やるかどうかを考える負担を減らせます。
先延ばしへの心理的介入では、目標を小さくする方法や実行意図などが活用されています。
先延ばしは、意志が弱い人だけがするものではありません。
将来の利益よりも、目の前の不快感を避けることを優先してしまう、人間の心理的な傾向の一つです。
自分がなぜ避けたくなっているのかを知り、最初の一歩を小さくすることが、先延ばしを減らす方法なのかもしれません。
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