必然と偶然

発車の時を告げる「ボワ～ン」という汽笛と、安全確認の笛音で、その列車は「ガタ　ゴト」と走り始めた。　都会の過密ダイヤのなかで運行されているそれとは違い、かなり緩やかな加速をもって進んでいく。　　乗り心地は、お世辞にも快適とは言えず、上下、左右への揺れは、乗客の少ない状態では、列車の揺れがかなりのものと、みてとれる。　　マニアに言わせると、そんなことも、ローカル線の魅力なのかもしれない。　　　程なくすると、下車駅の下吉田に到着した。　　下吉田駅は開業当時、東洋一とも言われた、名古屋駅を模して建てられたが、　平成21年に著名な工業デザイナー水戸鋭治により、今の駅舎に生まれ変わったものだ。　レトロな雰囲気を残ししつつも、洗練されたモダンデザインの融合は必見ともいえる駅舎となっている。
駅を出て、新倉山散策路を通って10分ほど歩くと、彼女の眠る菩提寺　大正寺に着いた。　　三つ峠は未だ低い雲に覆い尽くされている・・・
 
つづく・・・